荻野千砂子
九州大学博士(文学)
島の桟橋で「ワーリタボーリ」(意味:いらっしゃいませ)と初めてみたときから、ドキドキしました。私は、日本語の歴史的な移り変わりについて勉強しています。「ワール」ということばが与那国にあるのは知っていましたが、八重山にもあるのだと知って、黒島にやってきました。約400年前に琉球王朝で編纂された『おもろさうし』という歌謡集があります。沖縄に残っている古い資料の中でも、かな文字で書かれたものとして貴重な資料です。この資料の中に、「いらっしゃる」「~していらっしゃる」という意味で「オワル」がたくさん出てきます。しかし、現在沖縄の本島には「オワル」は残っていません。八重山の石垣や西表に「オールン」があることは分かっていて、おそらくこれは琉球で昔使われた「オワル」ではないかと言われていました。今回、黒島や小浜や波照間にも「ワール」があり、意味が目上の人へのあがめの言葉として使われていることがわかり、間違いないのではないかと思います。琉球では「オ」の音が「ウ」になりますので、「オワル」が「ウワル」となります。石垣では
「ウワ」の音が「オー」になるようです。那覇の「ッウワ」(豚)は、石垣では「ッオー」(豚)となっています。だから、「ウワル」も「オール」となっているわけです。黒島・小浜・波照間・与那国では「ウワル」の最初の「ウ」の音が弱くなって、「ワール」となったのでしょう。約400年前の琉球王朝のことばが、今もなお使われていることに感動します。大切な島のことばですね。昨年の9月と12月に、みなさんに島のことばを教えてもらうことができました。公民館長をはじめ、島のおじーやおばーたちに感謝しています。本当にありがとうございました。これからも黒島に行きたいので、また島のことばを教えてください!
うみがめ~る48号より抜粋
大塚 沙織
北海道大学獣医学部(当時)
私は小学校の頃から環境に関わる仕事がしたいと思っており、環境の分野の中でも野生動物の保護や研究に興味がありました。獣医学部に入学し、昔から好きだったウミガメを卒業研究のテーマに選びました。獣医学部生でウミガメの研究というと大半の方に『変わっているね』と言われますが、冬休みと春休みを中心に黒島に滞在し、オスのアオウミガメが未性成熟から性成熟に達し、繁殖に参加するまでに、外部や内部生殖器にどのような変化が起き、その変化は甲羅の大きさとどのような関係が見られるかということについて研究しています。この研究を通じてまだわからないことの多いウミガメという生物の生態を学んでいけたらと思っています。黒島は時間がゆっくりと流れつつも、1日1日があっという間に過ぎるそんな不思議な感じがします。 黒島での生活も冬休み

期間中の滞在を合わせると1ヵ月を超えました。牛まつりにも参加し、研究所の『ミニミニ水族館』を訪れた多くの方々と交流することができました。次回の来島時期はまだ決まっていませんが、つなぎに長靴姿の学生が研究所内を歩いていれば、それはきっと私です。ウミガメ協議会をはじめ、島の方々にもお世話になることと思いますが、よろしくいお願いいたします。
うみがめ~る第6号より抜粋
前森 智香子
早稲田大学第一文学部人文専修 3年(当時)
「なんでこの研究所に来たの?」研修期間中、多くの人が不思議そうな顔で私にこの質問を投げかけてきました。
平安座島出身で海人の祖父母を持つ私は、昔から海が大好きでした。文系に進んでしまってからも変わらず持っていた海への思いと、黒島に行ってみたいという好奇心。さらに独特の文化を持つ黒島で卒業論文のテーマを探せたら一石二鳥、いや三鳥だ!という気持ちから研究所への研修を申し出ました。そんな軽い気持ちで訪れた黒島は、私の予想と期待をはるかに越えていました。水槽掃除、動物への餌やり、浜歩きは海好きにはたまらなく楽しいものでした。しかし、それ以上に楽しかったのは黒島の方々の生き方、考え方に接したときです。住民の方が何気なく発した言葉に文化や伝統の重みをひしひしと感じ、身近にあり、見落としていたものに気付かされまし
た。大げさでなく、全てが私の今後の生き方に大きく影響するような体験ばかりでした。この感動を書き表せそうにもないのでこのへんでやめておきます。最後になりますが愛がある(と信じたい)辛口で知識だけでなく、「考える」という機会を与えてくださったり、状況を無視して質問ばかりする私に、時にめんどくさそうな顔をしながらも丁寧に答えてくださった研究所の皆さま、そして黒島のみなさん、1週間という短い期間でしたが、どうもありがとうございました。
青木 至
三重大学生物資源学部
生物圏生命科学科水圏生物生産学講座3年(当時)
春休み、この2ヵ月あもある長い休みを無駄に過ごしたくないと思い、約1ヵ月、さらにその時黒島の魅力にはまり、夏休みにも約3週間、この黒島研究所に研修させてもらいに来ました。最初、黒島研究所に来ようと思ったきっかけは、大学のサークル『かめっぷり』の後輩の薦めなどがあり、この島へ来ました。研究所ではウミガメについての知識を増やす事と研究所のお手伝いをするという事で、ウミガメの解剖、砂浜の測量、生物採集など、数多くの貴重な体験をさせてもらう事が出来ました。島の方々と交流させてもらう機会も多くありました。春はビジターセンターの草刈りや学校の先生の送別会、ソフトボール。夏は台風の時の卓球大会などいろいろな行事に参加
![2007_04070039[1]..jpg](_src/sc366/2007_040700395B15D..jpg)
させていただき、本土とは違った文化や島の方の莫大なエネルギーに触れる事ができ、島での生活がとても楽しいものとなりました。最後にご指導してくださった方々、親切にして下さった方々、本当にありがとうございました。まだまだ黒島でしてみたいことは残っているので、再び黒島に行った際はよろしくお願いします。
うみがめ~る第18号 より抜粋
河野 由佳
文京学院大学共生社会学科3年(当時)
大学のインターンシップ制度がきっかけで、インターネットで調べている内に、『黒島研究所』を知り、約3カ月の間、黒島に滞在しました。
研究所ではウミガメをはじめ、黒島の生物を多数飼育していました。私が鳥嫌いを訴えたところ、インドクジャクの世話は免除されました。安心したのもつかの間、サキシマハブを取り扱う作業では泣いてしまったりしましたが、夏休み中に毎日のように研究所にお手伝いに来てくれた島の男子中学生のおかげで助かりました。
アオウミガメとタイマイの産卵やふ化の場面に立ち会うことができました。タイマイの産卵は珍しいらしく、貴重な経験をさせて頂きました。研究所での数ある仕事(雑用?)のなかでも、いろんな人に出会うことが出来る、研究所だよりの配布が一番楽しかったです。婦人会のバレーの練習に参加したことがきっ
かけとなり、たくさんの島の行事を手伝わせていただきました。公民館歓迎会・竹婦連・味噌づくり・運動会・豊年祭・・・。行事の度に島の踊りに衝撃を受けました。そして、どの行事でも青年会や婦人会の皆さんの活躍ぶりに感動しました。
3ヶ月は、あっという間でした。今回、研究所で鍛えられたおかげで、これからは少々の困難でもぶつかってゆく勇気ができました。島の皆さんのように優しく、強く、大きな心をもった人になりたいと思いました。感謝の気持ちでいっぱいです。3カ月の間、本当にありがとうございました。
うみがめ~る第43号 より抜粋
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