西の浜のウミガメ産卵調査
西の浜について

西の浜は黒島の北西に位置し、長さ1.1km、高さ2.2m、奥行き16mほどです(2009年測量結果)。北端に階段状の護岸が接しますが、他に大きな人工物はなく八重山の自然本来の景観を残しています。砂はとても白いです。これはサンゴ、貝殻、ホシズナなどの海の生き物の死骸で構成されているためです。海浜植生も豊かで23種以上が見られ、外来種が少ないことが特徴です。入り口は狭く車が浸入できません。近くに建物が無く夜は真暗になります。ウミガメの産卵地としては良い条件が残っていると言えます。
研究の歴史

1973年、黒島に八重山海中公園研究所(現在 黒島研究所)が設立されました。1978年、当時の研究員であった御崎 氏により、西の浜のウミガメ産卵調査が開始されました。そして現在に至るまで約30年間、このウミガメ調査は歴代の研究員により継続されています。30年間にわたる継続的な調査は珍しく、沖縄県では唯一となります。そして日本で始めてタイマイの産卵が確認するなど多くの情報を発信してきました。さらに西の浜はアカウミガメ・アオウミガメ・タイマイの3種が産卵する世界的に観ても稀な砂浜であることがわかりました。写真:国内では珍しいタイマイの産卵
産卵数の推移

1978-2010年間(1982年のみ調査なし)で、ウミガメ類の産卵数は347回でした。そのうちアカウミガメ225回、アオウミガメ70回、タイマイ52回でした。平均は11.2回/年でした。全種を含めた産卵数は、1986年をピークに減少傾向にあります。これはアカウミガメの産卵が減少したためです。1980年代はアカウミガメが優先種でした。しかしその産卵数は徐々に減少し、現在ではほとんど確認されなくなっています。アオウミガメは1989年に初めて記録されました。そして1994年以降はほぼ毎年確認されるようになりました。タイマイは数回の産卵が継続して確認されています。このようにウミガメの産卵数といっても、種によって減っているもの、増えているもの、変わらないものがあることがわかってきました。
砂浜の変化


西の浜の南側で砂が減ってきています。写真は左が1978年、右が2007年の同じ場所です。砂は無くなり岩場が露出しています。測量によっても同様の結果が出ています。一方で、黒島港には砂がたまって来ました。これは黒島港に、新たな堤防ができたためです。このように海流に変化を与える構造物をつくると、離れたところでも砂浜に影響を与えます(図)。

図. 港が設置された場合の砂浜の変化
もちろん海流は複雑で必ずしも、このような砂の移動がおこるとは限りません。しかし同様の現象は日本各地でおこっており、深刻な問題となっています。
HOME